教科書を読み終えたあとの復習方法

学生であればもちろん、社会人になってもスキル獲得のために教科書を読むことは多くある。一気に最後まで駆け抜ける方式であれ、行きつ戻りつする方式であれ、まずはとにかく最後まで読み切ることが重要である。そのあと、どのように復習をするかという点については意見が分かれるだろう。もう一度頭から読み直す?マーカーを引いて赤シートで隠す?

この記事でおすすめしたい方法は索引の項目を選んでその項目について自分の言葉で説明してみることである。やり方は非常に簡単。まずは索引のページを開き、頭からでもランダムにでも良いので一つ項目を選び、それを口頭あるいはノートに書き付けるかたちで説明を試みる。ノートを使う場合は図を使ってもよい。もしうまく説明できなかったら教科書の対応するページに戻って説明を読む。幸運なことに、何ページに戻れば良いかはまさに索引に書かれている。

この方法の元になっているのは、他人に説明をすると覚えられるという、いわゆるアウトプット型暗記・ティーチング暗記という方法である。教える人がいなければぬいぐるみに向かって説明をするという方法も考案されている。しかし、いざアウトプット型暗記を行おうと思っても、何を説明すればよいかを考えるのが手間である。ここに索引の項目を使うというのが上で述べた方法のキモである。

このやり方の良いところは、何より手軽なことである。マーカーを引いたりノートを自分で作るのには準備に時間がかかるが、この方法は教科書を読み終わればすぐにはじめられる。また、一項目にかかる時間は多くないのでスキマ時間にコツコツ復習ができる。

第二の良い点は、時間の無駄が少ないことである。既に知っている項目については適宜飛ばして、新しい知識の獲得に集中できる。また、説明できない項目が見つかると、弱点を集中的に強化することができる。

第三の良い点は、表面的な知識にとどまらず、深い内容にまで踏み込める点である。赤シートで隠すだけであれば、なんとなく、このページにはこういうことが書いてあったとあてずっぽうで当ててしまうことができる。しかし、このように獲得した記憶では、テストや実地の場で同じ内容に遭遇しても、教科書の文脈がないと思い出せないことがしばしばある。他方、自分で説明を行うやり方であれば、教科書の特定の文脈に依存することなく確実に記憶にとどめることができる。

第四の良い点は、復習のレベルを自分で柔軟にコントロールできることである。最初の復習ではまず、項目の意味を確認するということだけに集中すればよい。これができるようになれば、一つの項目から関連項目まで思い出して包括的に説明を行うということまで行うようにする。簡単な小論文やマインドマップを作ってもよい。最終的に、索引だけから教科書の内容を全て想起できるようになれば、もうその教科書はマスターできたことになる。