やる気が出ないときの解決策

やるべきことが眼の前にあるのにやる気がでない、というのは誰しも経験があるだろう。私自身、「やる気 出し方」で何度検索したことか知れない。しかし、検索結果が教えてくれることといえば「とにかく行動を起こせばよい」などという役に立たないメッセージばかりだ。いや、行動を起こせないから困っているのだ。その最初の行動を起こす方法を教えてくれ。

さまざまなやる気の出し方を試行錯誤し、私が最も有効だと結論した方法は、「眼の前にあるタスクを分解する」である。正確にいえば、いきなり眼の前にあるタスクに直接取り組むのではなく、まずはそのタスクを分解するというタスクに取り掛かる、ということである。なので、TODO リストに大きなタスクを入れるときには「タスク A」と記入するのではなく、まずは「タスク A を分解する」というタスクを記入する。

具体例

具体例として、確定申告を行わなければならないとすると、以下のようにタスクを分解することができる。

  • 今年の確定申告のやり方を調べる
  • 源泉徴収票を探してくる
  • 登録作業を行う

分解が済むとそれぞれを TODO リストに入れる。こうしてもまだやる気が出ないときにはさらなる分解を行い、たとえば「今年の確定申告のやり方を調べる」を

  • 「確定申告」でウェブ検索する
  • 国税庁のページを読む
  • 〇〇さんに今年の確定申告について聞く

とする。

なぜこのやり方が良いのか

このやり方の良い点の第一は、いくら困難なタスクであっても、タスクを分解する作業自体はタスクそのものに比べればはるかに簡単である点である。よって、大変だから、時間がかかりそうだからやりたくない、という気持ちを最小限に抑えることができる。また、やるべきことが具体的なので、取り掛かりやすい。これにより、最初の行動を起こすハードルがぐんと落ちる。そして、最初の行動さえ起こせば、その後の行動は芋づる式に従っていく。

第二に、このタスクを分解した結果自体は、本命のタスクをこなす上でも役立つ。つまり、導入剤としての役割と、その後の潤滑剤としての役割の両方を担えるのである。

第三に、困難なタスクへのやる気が出ない要因として、そのタスクの得体の知れなさ、そしてそこからくる時間見積もりの難しさがあるが、タスクを分解することによりそのタスクへの理解が深まり、曖昧さからくる忌避感を下げられる。また、分解したタスクの最初に「やり方を調べる」、という小タスクを持ってくると、この小タスクをこなした時点でさらに親近感が深まり、やる気の向上が見込める。例えば、確定申告というとよく分からないというイメージだけが先行しがちだが、具体的にこういう手順で行うと終わる、ということが見えるだけでも始めやすさが格段に違う。

第四に、タスクが細分化されると、TODO リストにチェックマークが付けやすく、前進している感覚を味わえる。たとえば、1 時間で終わるタスクをそのまま TODO リストに入れていると、チェックマークが付くまで 1 時間作業し続けなければならないが、6 段階に分割していると、10 分の作業でチェックマークがつく。自分で定義したリストにチェックマークが付いたから何だ、と思うかもしれないが、前進しているという感覚を、それも視覚によって得られるというのはやる気を養う上で重要である。いわば「プログレスバー」を自分で作るようなものであり、あとひと踏ん張りで終わることが視覚的に分かると、ラストスパートをかけようという気にもなる。また、一連のタスクが終わったあと、6 個のチェックマークが揃うと視覚的に満足感が得られ、自己肯定感を養うにも役立つ。

終わりに

タスクを分解するというテクニックは、勉強・ビジネス・家事などあらゆる場面で活躍する汎用的かつ強力なテクニックである。ぜひ活用してもらいたい。